「企画会議でやっぱりナシ。完成してからボツ。」ハルオサンに初書籍化までの経緯を全部聞いてきた。


大人気ブロガーで、ロカフレライターでもあるハルオサンが初の書籍『天国に一番近い会社に勤めていた話』をKADOKAWAさんから出版します。

これまでかなり複雑な人生を歩んできたハルオサン。

書籍化が決まってから無事に出版に至るまでの道のりも平坦ではなかったようです。

そんな経緯や裏話、ハルオサンの日常まで根掘り葉掘り聞いてみました。

 

後藤:ロカフレライターのハルオサンにインタビューというのも少し変な感じですが、今日はよろしくお願いします!

ハルオサン:こちらこそ、よろしくお願いします!

後藤:ちなみにインタビューの合間に、ハルオサンの普段の執筆風景の写真とかも入れていきたいのですがどうでしょうか? あ、顔は無しで手だけの写真とかで大丈夫なので!

ハルオサン私の手って傷だらけなんですよね(笑) だから、見る人が見れば特定されてしまいそうなので……。

後藤:……イラストでいきましょっか。

 

 

 

企画会議でボツ?出版社がなかなか決まらない

 

後藤:まずは書籍出版おめでとうございます。

ハルオサン:ありがとうございます。

後藤:書籍化って言うと、ブロガーにとっては一つの目標というか、ゴールみたいなところはありますよね?

ハルオサン:ありがたいことに、私の場合は去年の11月の中旬にブログを開設して、その2か月後の1月には書籍化の話をいただいたんですよ。すぐボツになっちゃいましたけど(笑)

後藤:声がかかるのもボツになるのも早い(笑) でもハルオサンのブログ面白いですもんね。それだけ早く話がくることも納得です。でも出版は12月1日ですよね? 結局1年近くかかってるんですね。

ハルオサン:そうなんです。最初の出版社さんとの話がボツになって、次に声をかけてくださった出版社さんは、担当の方がブログを気に入ってくださったんですよ。その方には、印税のパーセンテージの話や発行部数の話までしていただいていたんです。私もここで出すことになるんだな、って思っていて。

後藤:その話も無くなったんですか?

ハルオサン:はい。企画会議で全く通らなくて。担当さんも上に何度も掛け合ったり、ものすごーく頑張ってくださったんですけど、最終的に「やっぱりナシで。」ってなりました。何度も何度も謝ってくださったので逆にこっちが申し訳なくなりましたね。

 

 

後藤:でもそんな詳細まで決めてたのに白紙に戻るって、ガックリきますね。

ハルオサン:少しガックリきました。でもちょっと詐欺とか、騙されてるんじゃないか、って疑っていたので少しホッとした部分もありますけどね(笑)

後藤:騙されてる(笑) で、その後にKADOKAWAさんから声をかけられたんですか?

ハルオサン:他にも何社かお話はいただいていたんですけどね。

後藤:やっぱり決め手は条件面ですか?

ハルオサン:それもあるんですけど、両親に安心してもらいたい。っていうのも理由の一つです。

後藤:ご両親ですか?

ハルオサン:親とはほぼ絶縁状態なんですけど、ちょうど書籍化の話が来た時に保険とか諸々の話があって、父から電話が来たんです。それで、「ブログを書いてたら書籍化しないかって出版社から言われた。」って話をしたんですね。そしたら、息子の頭がおかしくなった。と思ったらしくて……(笑)

後藤:うーん。でも確かに、にわかに信じられる話でもないですもんね。

ハルオサン:その時は「お、おぅ……。」みたいな感じで早々に電話を切られたんですけど、その数か月後にまた電話がかかってきて、「そういう詐欺もあるみたいだから気をつけろよ。」って。今度は詐欺の心配をされたんです。

後藤:KADOKAWAさんって誰でも知ってる出版社ですもんね。やっぱり安心感はありますよね。

ハルオサン:はい。……あと、昔から両親には「お前は何もやらせてもダメだ。」とか、優秀な身内と比べられて「才能がない。」とか言われてたりしたので、見返したい。っていう、あんまり胸を張って言えない感情もすこしだけ入っているかもしれません。

 

大手出版社ならではの苦労

 

後藤:そういう動機でも、書籍化で見返すのならすごく健全だと思いますけどね。そういう諸々の事情もあってでKADOKAWAさんになったんですね。

ハルオサン:はい。ただ、大手ならではの苦労もあって、全部書き上げてから「やっぱりボツ。」ってのが続いて、結局3回書き直してるんです。

後藤:3回も!? なんでなんですか?

ハルオサン:……そこは、ほら、書けることと書けないこととがあるので。

 

本のタイトルも、熟考を重ねた上でつけられたのだそう。

 

ハルオサン:あと、校正者さんがめちゃめちゃ厳しいですね。

後藤:校正者さんって、誤字とか表現とかをチェックする方ですよね?

ハルオサン:そうです。その校正者さんに要注意人物って認定されてたと思うんですけど、私の原稿だけ二度チェック、三度チェックってすごく念入りにチェックされるんです(笑)

後藤:実はけっこう過激な表現多いですもんね(笑) ハルオサンが書くと不思議とイヤな気がしないのであまり気にならないですけど、出版社から出すってなるとやっぱりNGも多いんですね。

ハルオサン:彼らの知識量はすごいですよ! 使っちゃダメな表現が全部頭に入ってるんです。で、私は知らずに使っちゃって、「これだと○○って意味なのでアウトです。」って。でも、どうしても伝えたい部分はものすごく遠回しにはしていますが、きっちり入れ込んでいます(笑)

 

 

ハルオサン:これはWebと紙の違いなんですけど、最初は「縦書きで書いてくれ。」って言われてたんですよ。

後藤:そうか、Webだと横書きが基本ですもんね。でもハルオサンのブログの内容が縦書きだと違和感あるなぁ……。

ハルオサン:私のブログの書き方には意図がけっこうあって、そのためにも横書きが理想なんですよね。文字の左に絵が来るより、文字の下に絵が来て欲しい。だから1話分丸々、縦書きバージョンと横書きバージョンで書いて、実際に見比べてもらいました。

後藤:え、すごい。なんかバクマンで似たような話を見た気がします。

ハルオサン:見比べてもらったら、横書きの方がいいね。ってわかってもらえました!

後藤:へぇ~、こう言ったら失礼ですけど、KADOKAWAさんほどの大手でも意外と柔軟に対応しくれるんですね。

ハルオサン:そもそも、私のように、文字と絵とどっちも含まれているブログを書籍化することが珍しいみたいで、デザイナーさんも編集部の方も色々と困ってたみたいです(笑) これは何でこの位置なんだ?とか、なんでこの挿絵なんだ?とかたくさん聞かれましたけど、どれも意図があるので、説明したら理解してもらえました。

 

 

ぶっちゃけいくら儲かるの?

 

後藤:ちなみに書籍化していくらぐらい儲かるんですか? 発行部数とか、パーセンテージとか、教えてください!

ハルオサン:う~んと……これは多分言っちゃうと怒られちゃうと思うんですよねぇ。

後藤:でも書籍化ってやっぱり儲かるんでしょ?

ハルオサン:そうでもないんですよ? ほんとに思ってるほどじゃないと思います。

後藤:またまたぁ。実際に教えてもらわないと全然信用できないなぁ。

ハルオサン:う~ん、細かくは教えられないんですけど、私の手元に入ってくるのは〇十万円くらいです。

後藤:〇十万ですか、確かに思ってたほどではないなぁ……。でも十分大金じゃないですか!

ハルオサン:数字だけだとそうなんですけど、半年かかってますからね。その間はほとんど缶詰め状態だし、徹夜して作業することもザラなので、時給にすると300円くらいだと思います。

後藤:えぇ、そんな感じなんだ……。

ハルオサン:私の作業スピードが遅いのも原因なんですけどね(笑) この本が全部で240ページなんですけど、絵は全部描き下ろしですし、内容も、ブログを知らない人もいるのでどうしても削れない話は被っていますが、書き直して、後半はブログにはない内容を書き下ろしています。

本の目次を見ても、「あ、あの話かな?」っていうのと、「これ知らない話だ!」ってのがあります。

  • 1はじまりのはじまり
  • 2人生のリセットボタン
  • 3オモテ家具屋ウラノ死後清掃
  • 4アットホームブラック
  • 5人生を変える巨乳オリンピック
  • 6不気味な会社のルール
  • 7タンクトップの面接者
  • 8健康食品という名のカルト
  • 9 1月のハイテンション出勤
  • 10最下層民の恋
  • 11凶悪犯たちの希望
  • 12ブラック企業の洗脳からの脱却
  • 13ブラック企業ジャンキー
  • 14天国に一番近い会社
  • 15人に愛されるために
  • 16カルトカルテット
  • 17天国への切符
  • 18豆の王国
  • 19敗者復活戦
  • 20弱者の戦い方
  • 21人生最後の挑戦
  • 22ブログの力
  • 23灰色のクソ人生
  • 24おわりのはじまり

 

 

後藤:しかも3回書きなおしてるんですもんね。

ハルオサン:そうですね。おまけに担当者さんもすごく忙しい方で、連絡が付かないこともしばしば……。

後藤色々あったんですね。

ハルオサン:いやいや圧倒的に私がかけた迷惑の方が大きいですし、色々頑張ってもらったのですごく感謝してるんですよ。今では戦友というか、二人三脚でずっと一緒にやってきたので、すごく良い関係だと思っています。

 

後藤:それだけ苦労した原稿が完成したときには達成感も相当あったんじゃないですか?

ハルオサン:そうですねぇ。でも明日にでも電話が鳴って、「やっぱり書き直し。」って言われないか不安ですけど(笑)

後藤:(笑) ちなみに完成したときとかはやっぱりビールとか飲むんですか?

ハルオサン:いや、私はお酒一切飲めないんですよ。だからコンビニでコーラを買って飲みました。

後藤:健全だ(笑)

 

 

ダークファンタジーと言われているけど……

 

最初に書籍化の話が来てから、出版社が決まるまでに約4か月、そこからさらに完成まで半年がかかった、ハルオサンの初書籍。それにしてもブログ開設から1年で書籍化というのはやはり驚異的なスピードだと思います。

それだけハルオサンの絵や文章には何かひとを惹きつけるものがあります。かくいう僕も惹きつけられた一人。

しかし、年齢・性別・素顔、全てが謎に包まれており、本人はサラリとこんなことを言っています。

まず初めて対面した時にはすでに、『38歳の無職』と相手方にはお伝えしてありました。

まぁ私が初対面の方に名乗る名前や年齢は全部デタラメなのですが・・・

おいおい。

 

そんな謎に包まれたハルオサンのキャラと、次々と語られるウソのようなぶっ飛んだ話。当然出てくる疑問が、これってどこまでホントなの?

ハルオサンファンの大多数が抱えているであろう、この疑問もぶつけてみました。

 

後藤:一ファンとしての疑問なのですが、ブログの話ってどこまで本当なんですか?

ハルオサン創作だと思ってもらって大丈夫ですが、話の土台は全部実話です。わかりやすくするために少し脚色したり、そのままでは書けない部分をぼかしたりフェイクを入れてるので……。ただ、全くのゼロから話を創ったことは一度もありません。

後藤:じゃあ生まれた時の大病の話も、警察学校の話も、ブラック企業の話も……。

ハルオサン実話です。でも、別に信じてもらう必要はないと思っているんですよ。私のブログを読んで「こんなの嘘だ。」と思われる方は、これを聞いても信じないでしょうし、それで全然かまいません。だって私は「こんな人生なんだぞ!」って誇るためにブログを書いてるわけじゃないですし、そもそも誇れるような人生を送っていませんから(笑)

後藤:ダークファンタジーなんて呼ばれてましたもんね。

ハルオサン:こんな突拍子もない話、自分で体験してなかったら私は信じないと思います。だから、こんなに信じてる人がいるんだ。って驚きの方が大きいんです(笑)

 

 

後藤:自分の人生を誇るために書いてるわけじゃない。って言っておられましたけど、こういう人のために!こんな人に読んでもらいたい!とかあるんですか?

ハルオサン:うーん、昔上司に言われた言葉をいくつか覚えていて、その一つに『人を変えようとするな。』っていうのがあるんです。私の拙い文章と絵で人を変えるだなんて恐れ多いんですよね。

後藤:変わるきっかけになれば良い。くらいの感覚ですか?

ハルオサン:それすらもおこがましいような気がします。

後藤:でも、ちょっと偉そうなことを言いますけど、ハルオサンの文章を読んで、救われてる人とか、何か感じてる人って、1人や2人じゃないと思いますよ。

ハルオサン:正面切ってそう言われると照れます(笑) ほんとは、自分の中にはあるんですよ。大病を患っている方とか、ブラック企業で働いている方、その経営者、それから夢破れて傷ついている方とか……。何か感じて欲しいな、ってのはあるんですけど、でもそれはこっちから押し付けることではないと思うんですよね。

後藤:そういう人たちにはきっと響いてると思うなぁ……。

 

 

言葉の重み

 

後藤:そういえば、そもそもブログを始めたきっかけって何だったんですか?

ハルオサン:もともと文章書くのって好きじゃないんですよ。本とかも読まないし。

後藤:そうなんですか!?

ハルオサン:でも、工場でクビを痛めてしまって、頼る相手もいなかったので自宅で出来る仕事を、ってことで在宅ワークを始めたんですよ。で、その在宅ワークの会社から給料が振り込まれなかったんです。

後藤:ひどい話だ……。

ハルオサンそれも半年間。

後藤:・・・・・・。

ハルオサン:それで在宅ワークもダメってなってしまって、最後に残ってた選択肢がブログだったんです。

後藤:……でもその在宅ワークの会社がちゃんと給料払うところだったら、今こうしてハルオサンと話してないわけだから縁って不思議ですね。

ハルオサン:確かに。あの会社がまともだったら今も在宅ワークしてましたね(笑)

 

ハルオサン:今でも文章や絵は苦手なんですけど、でもブログを始めたことがきっかけで、たくさんの方の優しさに触れられたので、そこは本当に良かったな、って思ってます。ほんとありがたいです。

後藤:なんかこういう言葉って、たいていの人が口にすると嘘くさくなっちゃうんですけど、ハルオサンの言葉ってなんだか人柄がにじみ出てて、本当にそう思ってるんだろうなぁ、って伝わってくるんですよね。

ハルオサン:///

後藤:絵とかも、失礼ですけど、そんなに上手なわけじゃないと思うんです。だけど心に響くんだよなぁ。

ハルオサン:不安感とかにじみ出てるんですかね(笑)

後藤:同じ言葉でも、発する人によって重みとか、意味とか、心の揺さぶられ方とか、全然違うんですよね。言葉や絵が上手な人はたくさんいますけど、その背景に人が見えないと感動ってないんだと思います。

 

そんなハルオサンの言葉が240ページにわたって詰まっている『天国に一番近い会社に勤めていた話』が、12/1発売予定です!

アマゾンではすでに予約受付が始まっています!

 

ハルオサン:明日(インタビュー日:10/26)、初めて予約の数が出るんですけど、もう不安で不安で……。

後藤:やっぱりハルオサンでも不安になるものなんですね。

ハルオサン:自分一人の話だったら盛大にこけてもいいんですけど、KADOKAWAさんとか、担当さんとか、散々お世話になっているので……。

後藤:こんな時でもすっとそのセリフが出るあたりがハルオサンらしさであり、良さなんでしょうね。今日はありがとうございました!!

ハルオサン:こんなので良かったんでしょうか……。こちらこそありがとうございました!

 

 

ハルオサンに、ブログから書籍化を狙っている人へのアドバイスを伺ったところ、「あれよあれよという間に決まってしまったので何とも……。」との回答が。

しかし話を聞くと、まずはハルオサンのブログに興味をもった編集者や出版社から連絡がくるそうです。その後実際に出版するかどうかの段階でPV数なんかを聞かれることもあるそうですが、編集長が直接来て、「そんなのいいからウチで書いて!絶対売れると思うから!」と言われたケースもあるそうです。

やっぱりPV数がどうとか、影響力がどうかよりも、応援したくなるかどうかが全てなのだと思います。

僕も一ファンとしてハルオサンを応援したいし、何より楽しみなので……

ポチっとな。

 

(おわり)

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