【酒類提供一切禁止】ソムリエ、業務酒販店、ワインコンサルティング、お酒に携わる人たちは緊急事態宣言に何を思うのか【コロナ】

ワインの美味しさに気づきながら失礼します。ロカフレ編集部のダイソン後藤です。

僕はもともとワインは好きではなかったのですが、イタリアワインを広める活動をしているAVIの皆さんに教わりながら飲むことで、すっかりワインの美味しさ、楽しさを知ってしまいました。

その様子はこちらの記事からどうぞ↓

ワインってかっこいいから飲んでるんじゃないの?ワインの魅力や飲み方を、ワイン初心者がイタリアワインのプロに教わってきた! | ロカフレ (locafra.com)

 

さて、そんなAVIのメンバーの皆さんですが、取材当日の2021年5月現在、緊急事態宣言が発令されている大阪市でお酒に携わるお仕事をされています。酒類提供一切禁止という彼らにとって非常に厳しい要請が出る中で、どんなことを思っているのでしょうか。

 

お酒関係の仕事の現状ってどんな感じ?

まずはそれぞれのお仕事と、現在その業務がどのような状態なのかを伺ってみました。

改めて皆さんの現状をお伺いしてもいいですか?

 

僕はまずレストランにイタリアワインを卸す業務酒販店をやっています。ただ販売先の飲食店でお酒を提供することができないので。

 

お酒を販売する先が飲食店なので、その飲食店が休業してしまっている現状ではほとんど業務が停止してしまっているそうです。

 

僕はイタリアワイン全般に関するコンサルティングやプロモーションのお手伝い、セミナー講師なんかをやっているのですが。

 

今はそういったお仕事はほぼ無いような状態ですね。

 

僕はイタリアワイン専門のワインバーをやっているのですが、現在は休業中ですね。

 

やはり三者三様で緊急事態宣言の影響をかなり受けているようです。

もう少し詳しい話を伺ってみましょう。

補償金はなかなか振り込まれない

この中で飲食店をされているのは、ワインバーをされている尾畑さんだけですよね?今は休業要請が出てると思うんですけど、どうされているんですか?

 

僕は要請にしたがって今は休業中ですね。アルコールが無理でもご飯だけでもやったらとは言われたりもするんですが……。

 

 

お客さんにワイン出してくれ、って言われたら断る勇気がないので潔く完全に店を閉めています。

 

なるほど(笑) じゃあ補償金は出てるんですよね?

 

一応そうなんですけど、なかなかスムーズに進んでいるわけではないんですよね。

 

飲食店は休業要請にしたがうと一日4万円~10万円の休業補償金が出るのですが、申請すればすぐに振り込まれるというわけではないそうです。去年申請した分が先日振り込まれたのだとか。

え~!なんとなくイメージで飲食店はむしろ儲かってるのかと思っていました。

 

そんなことはないですね。僕がお付き合いさせていただいているお店もものすごく大変な思いをされています。

 

休業中でも家賃だったり固定費は発生します。補償金の振り込みが間に合わず、やむなく店を閉めるところも増えているのだそう。運転資金が底をついたので、仕方なく店をつぶして、いつか振り込まれるであろう補償金で債務を綺麗にする予定、というような状況の飲食店さんも少なくないのだとか。

 

飲食店にお酒を卸す会社には補償金は出ない

飲食店も大変なのだということがわかりましたが、そんな飲食店にお酒を卸しているような会社はもっと大変なのではないでしょうか。

丸谷さんは、飲食店メインでお酒の販売をされているんですよね?飲食店でお酒を提供できないとなるとものすごく大変なんじゃないですか?

 

そうですね。もう配達業務がほぼストップしている状態なので、売り上げはボロボロですよ。

 

飲食店での酒類の提供は禁止ですが、家飲みなどがあるためお酒自体の需要がまったくなくなったわけではありません。しかし、一括りに酒販店といっても、小売りをメインにしているところと、丸谷さんのように飲食店をメインにしているところとでは全く状況が違います。

飲食店には補償が出る一方で、その飲食店にお酒を卸している業務酒販店には補償がない、というのは公平性に欠けるというか、線引きが雑なように感じてしまいます。

お酒関係のイベントは全滅

井口さんは2年前までは尾畑さんと同じように本町でワインバーをされていたそうです。店を閉めて、ワインのコンサルティングやセミナー講師として生計を立てていこうと思ったタイミングでコロナ禍が始まりました。

海外の造り手さんが、日本向けにワインのプロモーションをしたいから手伝ってくれ、というのが通常の流れなのですが、そもそも消費が見えないのでプロモーション自体がないんですよね。

 

確かに、今のタイミングでなかなか向こうもプロモーションをかけにくいですよね。

 

大きいイベントを企てても、やっぱり中止や延期の連続で……。

 

そうなんですね……。

 

 

定期的にセミナーを依頼されていたイタリア外務省関連の仕事も、やはりそういう場所ほど慎重なので、思うようにできないのだそうです。

今回の緊急事態宣言についてどう思う?

さて、皆さんそれだけ様々な影響を受けておられますが、直接の決め手となったのは緊急事態宣言にともなう酒類提供一切禁止という要請です。これについて皆さんはどう思っておられるのでしょうか。

確か最初は東京からだったと思うのですが、酒類提供一切禁止っていうのを聞いたときはビックリしましたよね。

 

 

お酒だけが悪者扱いされるっていうのは、僕らからしたら全否定されたような気持ちになってしまいますよね。

 

そもそも飲食店がダメってなっても外飲みとかはしてますからね。

 

そうなんですよね。京都でも鴨川飲みなんかが問題になってますし、飲食店がダメってなったらそういう場所で。そういう場所もダメってなったら友だちの家で宅飲み。といったように、すべてを完全に禁止することは不可能です。それだったらまだ、責任を持った店主の目が行き届くような範囲で「席は斜めに座る」とか「間にアクリル板を置く」とか「基本的にマスクを着用して」などのルールの下でお酒を楽しむ方がまだ健全な気もします。

ほんとにそう思いますよね。

 

そもそも休業要請を出すのであれば、本当にお酒の席で感染がおこっているのか、それはコロナ対策をされている状態でもおこっているのか、どれくらいの人数なのかというような数字も出してもらわないと、お酒を生業にしている方からすると納得できないのではないでしょうか。

僕らもそこが実証されて、明確にお酒が感染を拡大させている、ってなれば納得しますし、休業要請も仕方ないなとは思うのですが……。

 

レストランは文化。途切れさせてはいけない。

ここまではお話を聞いていて感じるのは、補償の線引きがかなり雑だということです。業種だけで切っているのが現状ですが、飲食に関わる他の業種もたくさんありますし、同じ飲食の中でも規模の違いによって受ける影響が全然違うんですよね。

また補償金が間に合わずに潰れていっているお店も増えてきているそうです。

著名な料理人の方やオーナーシェフの方々がいろいろと動いてくださっていますが、やっぱりレストランは文化でもありますし、一度つぶしてしまったら元には戻らないですよ。

 

今、飲食店にだけ補償が出てますけど、仮に飲食店がそれで生き残ったとしても、生き残ったお店にお酒や食材を卸すところが潰れてしまったら結局元の状態には戻れないですよね。

 

それは無理ですね。大変なことになると思います。

 

レストランという文化を残すという意味でも、飲食店だけを手厚く守っても意味がないですし、もっと幅広いネットを張れないのか、とは思いますよね。

 

もちろん完璧に全てをすくいあげるようなことが不可能だということはわかっています。しかし、あまりにも線引きが簡単すぎなのではないでしょうか。コロナ禍になってすぐの時期であれば、素早い対応を、という意味でも、パッと線を引いてしまって、ここにとりあえずお金を出すよ!というやり方もある程度仕方がないと思います。しかし、これだけ時間が経ってもまだ同じ線引きのままというのはどうなのでしょうか。

仕事柄ワインに関するいろんな会社を見てますけど、やっぱり同じ業種でも影響を大きく受けているところもあれば、そうじゃないところもあって、かなりはっきり明暗が分かれてしまっているんですね。

 

業種だけでなく、その販路まで見てくれっていうのは難しいのはわかるんだけど、あまりにも見ていて歯がゆい部分がありますね。

 

守られるべき部分がしっかりと守られて、残すべきところがしっかりと残って、いざ日常に戻った時に、それが本当にこれまで過ごしてきた日常であることを願うばかりです。

 

まとめ

コロナ禍で、お酒関係のお仕事をされている方は本当に大変な状況におられます。もちろん感染拡大防止のために仕方がないということは皆さんわかっておられますが、それでもやりきれないという思いを抱えておられます。

それは飲食店かどうかというだけで補償の線引きがされていたり、飲食店でも補償が間に合わず潰れていく店があったり、酒類提供一切禁止に対しても十分な説明がされていなかったりと、理不尽さを感じる部分があるからではないでしょうか。

 

繰り返しになりますが、いつか日常に戻った時に、居酒屋やレストランがなくなっていることのないことを祈るばかりです。

 

それではさようなら!

AVIのメンバーがおすすめするイタリアワインのセットがネットショップから購入できます。

【期間限定】Enoteca della Rotonda (stores.jp)

今回の取材の様子がYouTubeにアップされていますので、ぜひご覧ください!

 

取材協力:AVI(https://avikansai.exblog.jp/

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