コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本でも緊急事態宣言が発令され、多くの飲食店や娯楽施設、学習塾やホテル・旅館、その他さまざまな事業が営業自粛を余儀なくされています。
そういった施設に勤めていた数多くの従業員は仕事を奪われ、いつ元通りに戻れるかもわからない不安な日々を過ごしています。
しかし、従業員以上に苦しい状況に立たされているのが経営者ではないでしょうか。
国や地方自治体から休業協力金が支払われるといっても50万円~100万円程度です。もちろん我々一般市民からすれば大金ですが、規模の大きな経営者であればあるほど、これくらいの金額は焼け石に水といったところでしょう。
そんな苦境に立たされている経営者はこのコロナショックに対してどのように立ち向かっているのでしょうか。
今回は飲食店を3店舗展開している株式会社ネクストフードアール代表取締役の川田さんに取材をしてきました。
なお、コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインにて取材をおこなっております。
目次
月の売り上げが9割9分減
川田さんが代表取締役を務める株式会社ネクストフードアールは、三重県の津市を中心に、飲食店を3店舗経営しているほか、松坂牛などを取り扱うネット通販やイラスト制作事業など、多角的な経営を行っているそうで、会社全体の年商は3億円超!すごすぎる!!
会社情報:株式会社ネクストフードアール
でもそれだけの売り上げがあるということは、今回のコロナウイルスによる一連の騒動でかなりダメージを受けているのではないでしょうか?
さっそく疑問をぶつけてみました。
やはり飲食店にとって今回の営業自粛は相当大きかったようです。一応時短での営業は可能なものの、酒類の提供は19時までなどの制限は、アルコールを提供するお店にとっては実質閉店を迫られているようなものなのだそう。
月に1200万円~1300万円ほどの売り上げがなくなると考えると、休業協力金などはやはり微々たるものに感じてしまいます。
すぐにデリバリーサービスを開始
飲食店の営業自粛はかなりの痛手だったようですが、川田さんは、ただ指をくわえていたわけではないそうです。
なんと川田さんは、コロナ騒動を見越したかのように、デリバリーの許可ありきでフランチャイズ契約を結んでいたらしい。超能力者なのか?
川田さんは、数年後にはドローンを活用したデリバリーサービスが当たり前になっているのではないかと予想しているらしく、そういったドローンの活用は地方から始まると睨んでいるのだそう。東京や大阪なんかは高いビルも多いし、たしかにドローンが飛び交うのは難しそうなので、川田さんの予想通りになるかしれない……。
そうした将来に備えていた準備が功を奏した形ですが、それもこれも川田さんの先見性の賜物。
何もしなければ店舗の家賃分が赤字になるところを、デリバリーを始めることでなんとかプラスマイナス0くらいに持っていけている川田さんですが、やはりこの状況が続くのはかなりきついでしょう。
しかし、取材日前日の5月14日に朗報が入ってきました。それは特定警戒都道府県を除く39県の緊急事態宣言の解除です。これによって三重県の緊急事態宣言も解除されました。
緊急事態宣言が解除されたからと言って、すぐに再開はできない
営業自粛要請が解除されたからと言って、すぐに元通りとはいかないようです。周りが営業をしていない中で再開して、万が一コロナウイルスの感染が起きてしまったらと考えると、営業再開のタイミングは本当に難しいですよね。
自粛警察と呼ばれる、独自の正義感を持った人たちも話題になっていますし、風評被害や従業員への直接的な悪影響を考えると、慎重にならざるを得ない状況なのでしょう。
コロナウイルスの影響で売り上げが500%アップ?
コロナウイルスの影響で飲食店の売り上げがほぼなくなってしまった川田さんですが、実は会社全体の売り上げはむしろアップしているらしいのです。
どういうカラクリ?
そう。コロナウイルスの感染拡大によって人々の生活様式が変わっていき、大きなダメージを受けている業界もたくさんありますが、すべての業界が悪影響を受けているわけではありません。
たとえばステイホームで家にいる時間が長くなった分、自宅で楽しめる任天堂スイッチなどのテレビゲームなどは売り切れが続いていたり、家電製品も売り上げを伸ばしているようです。また、外食が減った分スーパーの売り上げが上がったりと、良い影響を受けている業界も少なくありません。
そしてネット通販は、まさにコロナの影響を良い意味で受けており、外出を避ける人々の利用がぐっと増えているのです。
これからの社会はどうなっていく?
今までに誰も体験したことがない、まさに未曽有の事態ですから、先のことは誰にもわかりません。
しかし、これだけの先見性をもって会社を経営している川田さんなら何か将来のことが見えているかもしれません。今後の展望をうかがってみました。
夏に外でビールが飲めるように、各自ができることをやろう
今回は、普段なかなか聞くことのできない、経営者の方からお話を伺うことができました。川田さんの場合はネット通販が好調なので、会社としては問題ないようでしたが、飲食店に限っては売り上げが9割9分減と、本当に壊滅的な状況のようです。
世の中の飲食店を経営しておられる方のほとんどは飲食店一本でしょうから、本当に苦しい状況なのだと思います。
また、営業自粛が解除されたからと言って、すぐに元通りの営業を再開できるわけでもないようです。そこは一人ひとりが衛生観念と寛大な心をもって、少しずつでも元の生活に戻れるように協力していくことが必要不可欠だと思います。
想像してみてください。
夏にビアガーデンやビアテラスに行きたくないですか?
そのためには、コロナウイルスのこれ以上の感染拡大を阻止すること。そして、飲食店をはじめとする様々な施設が営業を再開できる雰囲気をつくることが必要なのではないでしょうか。
もちろん命を守ることが一番大切です。しかし、飲食店などを経営している人たちや従業員の方々の生活を守ることもとても大切なことだと思います。過度な社会的制裁や、万が一コロナウイルスの感染が起ころうものなら徹底的に追い込むような雰囲気では、日常に戻ることはとても遠のいていくような気がします。
何の対策もしない。衛生管理はめちゃくちゃ。でも営業はしたい。ではいけないと思いますが、政府や専門家の指示に従った営業は当たり前のようにおこなえるような雰囲気へ少しずつ舵を切っていってもよいタイミングなのかもしれません。