手をかざすと鈴の音がなる?緊急事態宣言が明けた京都の観光地を歩いてみた。

サングラスにマスクという、完全な不審者の姿で失礼します。

ロカフレ編集部のダイソン後藤です。

京都出身の方なら一目見ればわかると思いますが、僕が立っているのは京都一の繁華街、四条河原町の交差点です。

京都と言えば、世界で最も影響力があるとされるアメリカの大手旅行誌「トラベルアンドレジャー」で人気観光地ランキング2年連続世界一位を獲得するなど、世界的にも有名な観光地です。一時期は観光客が増えすぎてトラブルが増えたり、あまりの混雑っぷりに観光客の満足度が下がってしまうほど。

 

そんな京都ですが、コロナ禍の影響による大規模な入国制限で海外からの旅行客は全くといってよいほどいなくなりました。

日本国内でも緊急事態宣言が発令されたことにより、観光ができるような状態ではなく、観光客を相手に商売をしているお店は非常に苦しい思いをしていると思います。世界でも有数の観光地である京都は、今どうなっているのでしょうか。

 

今回の取材日は2020年の6月6日。

緊急事態宣言が明け、少しずつ日常生活に向かって進み始めた6月の最初の土曜日に、京都の観光地がどうなっているのか知るべく、実際に歩いてきました。

 

久しぶりの四条河原町の様子

久しぶりに河原町に来たのですが、まず最初に衝撃を受けたのは四条河原町のシンボル的な存在でもあったマルイがなくなっていたこと。これはコロナ禍とは関係なく、昨年(2019年)の11月ごろには報道されていました。

実際に撤退したのは今年(2020年)の5月なので、マルイ撤退の様子を直に見られた人ってものすごく少ないのでは?

 

京都民で、阪急ユーザーだった僕からすると、「3番口のマルイ前で集合ね」などと言ってたくらい愛着のある場所だったので、なんだか寂しい気持ちになりました。

それから、交差点の人数はやっぱり少なかったですね。

 

とはいえ、完全に人がいないかというとそうでもなくて、時間帯によってはもう少し人通りはありました。

とにかく新型コロナウイルス感染拡大の前と明らかに違うのは、外国人観光客の少なさです。

以前は感覚的に、道行く人たちの半分くらいは外国人だったように思いますが、本当に全く見かけませんでした。入国が規制されているので当然といえば当然なのですが、「少ない」ではなく「いない」でした。

河原町通りに関しては、外国人はほぼいないので全体としても半減しているような状況でしたが、河原町通りから通りを二つ東にいった先斗町(ぽんとちょう)通りは、さらに人がいませんでした。

京都以外の人からすると、「先斗町?」となると思うので説明すると、先斗町は、祇園と並ぶ京都で有名な花街です。川床や、納涼床と呼ばれる京都の風物詩のお店があるのも先斗町。

関連記事:3000円以下ってほんと!?京都の風物詩『納涼床』を4つ紹介

河原町通りや、木屋町通りと比べると立ち並ぶお店の値段はお高めなので、学生にはなかなか手が出せないのが先斗町。先斗町で飲んでいると、「あー、大人になったな」って実感します。

そもそもお昼の先斗町は普段からそんなににぎわっているわけではないのですが、それにしてもここまで人が全くいないのは異常です!

緊急事態宣言が明けて、6月になってもいまだに営業を再開できていない店舗もたくさんありました。

テイクアウトのみのお店も。

感覚としては、一番の大通りである河原町通りには、外国人はいませんが、日本人はそれなりにいました。しかし、そこから東に行けば行くほど、飲み屋街になればなるほど、人通りが少なくなっていくイメージでした。

 

2カ月ぶりに家の外で飲むビール

鴨川を渡ってさらに東へ。

鴨川には「かもっぷる」と呼ばれる、カップルが等間隔で川沿いに並ぶという風習があります。

多い時には、四条から三条まで、鴨川沿いにカップルが等間隔でズラッと並びますが、この日はカップルも少なめ。カップルどうしの間隔もいつもより広めで、ソーシャルディスタンスの意識が浸透していることを感じます。

鴨川を超えると、人が明らかに少なくなっていきます。

ここらへんで、ビールを飲みたくなってきた働いている方にもお話を伺いたいので、お店に入ってみましょう。

祇園の顔ともいえる、老舗のお好み焼き屋さん、「壹銭洋食」さんにお邪魔しました。

 

祇園と言えば、先斗町以上にお高めのお店が立ち並んでいますが、壹銭洋食さんは手ごろなお値段で名物の壹銭洋食(京風お好み焼き)が食べられるということで、観光客はもちろん、地元の方や、祇園で働く舞妓さんや芸妓さんたちにも愛されるお店です。

普段はお昼時になれば簡単には入れないほどの人気店なのですが……

お客さんは僕らのほかには一組しかいないという状況でした。

ちなみに壹銭洋食さんには、僕の横の北川景子さんのように、美人なマネキンがお出迎えしてくれます。

今ならより取り見取り!

 

こちらが名物の壹銭洋食。というか食事のメニューは壹銭洋食の一品しかありません。

 

そしてビール!!

緊急事態宣言が発令されてから、居酒屋さんにはいけていないですし、宣言が解除されてからもなんとなく外食するタイミングがなくて、これが約2カ月ぶりに家の外でのむビールです。

 

最高!!!!

ほんとにおいしい。これだけでも取材に来たかいがあった。

 

もちろん名物の壹銭洋食も最高においしい。甘辛いタレとビールの相性も抜群です。

 

祇園のお店は緊急事態宣言の前から自粛をしている

店員さんにお話を伺うことができました。

ここ壹銭洋食さんは、四条河原町の高島屋に出店しているということもあり、支店が頑張って営業している中、本店が休むわけにはいかない、と客足が遠のく中でも営業を続けておられます。

もちろん新型コロナウイルス感染拡大防止のため、アルコール除菌やソーシャルディスタンスの保持、マスク着用の徹底など、十分に対策をとった上での営業です。

ただ、やはりお客さんは本当に少なくなってしまっているそうです。壹銭洋食さんは、決してインバウンドだけに頼っているわけではありませんが、やはり外国人旅行者がいなくなったことで売り上げは下がりますし、夜のお店が軒並み閉店している影響で、祇園という街にそもそも人がいなくなっています。

祇園では、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた段階で、緊急事態宣言の発令や、営業自粛の要請が始まる以前から、多くのお店が自主的に、文字通り「自粛」をしていたそうです。

確かに、接客を伴う夜のお店が名指しで批判される中、京都ではあまりそういった話は聞きませんでした。京都自体は感染者数が一時増えていた時期もありますが、どちらかというと大学生から感染が拡大したイメージです。

 

しかし、そうした自主的な努力の一方、自粛したまま営業が再開することなく、そのまま閉店していったお店も少なくありません。ただでさえ京都の祇園と言えば一等地の中の一等地ですから、家賃も安いはずがありません。

知り合いのお店でも、コロナ禍の影響で閉店に追い込まれているお店はいくつもあるそうです。

 

手をかざすと鈴が鳴る?神社でも進むコロナ対策

さらに東に歩き、八坂神社にやってきました。

八坂神社の前で、これだけ自由に写真を撮れるというのはとても不思議な感覚です。

 

八坂神社では、「世に疫病が流行すれば、蘇民将来の子孫といい、茅の輪をつけておれば免れさせる」という言い伝えがあるそうです。

まさに新型コロナウイルスという疫病が猛威を振るっている中、一日も早く平穏な世の中になることを祈願してこの茅の輪を設置しているのだとか。

僕も、そんな思いをもって、茅の輪をくぐりました。本当に一日でも早く日常が戻ってくることを祈っています。

 

その後、参拝するために手を清めに行きましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ひしゃくは取り除かれ、直接取水するようになっていました。

 

また、同様の理由から、鈴を鳴らすための綱は使用できないようになっていました。

ではどのように参拝するかというと、

 

手をかざすとセンサーが反応して、鈴の音がスピーカーから流れるようになっていました。

これには他の参拝者の方も、みな戸惑いながらも「すごいねぇ」と感心していました。

神社でもコロナ対策というのは進んでいるのですね。

 

清水寺の様子は……

八坂神社を通り抜けて、次は清水寺の方へ歩いていこうと思います。

それにしてもこの日は暑かった!マスクをしているとどうしても呼吸がしづらいですし、これからの季節、マスクの着用をどこまで徹底するのか、というのは一つ難しい議論だと思います。

八坂神社と清水寺の間にある「八坂の塔」で写真をパシャリ。普段は写真を撮ろうと人で大混雑しているのですが、こんなに人通りが少ない!

京都らしい写真が撮りたい人は、今がオススメかもしれません。

フェイスシールドをしている人力車のお兄さんにも話を伺うことができました。緊急事態宣言が発令されているときは自粛していた人力車の営業ですが、数日前から営業を再開したそうです。

今は人が少ない分、ゆったりと進むことができますし、写真もきれいなものが撮りやすいとのこと!

 

人力車と言えば決して安い金額ではないので、こういう十分堪能できる機会に利用してみるのもありかもしれません。

人力車と言えば、地元の方が「なんか景色に物足りない感じがしてたのよね。またこうやって走ってくれてうれしいわぁ。」と話しておられたのがとても印象的でした。すでに風景の一部になっているんですね。

 

いつもなら満員電車のような産寧坂(さんねんざか)を、ストレスフリーでのんびり歩き、清水寺の入り口に到着しました。仁王門の全体像がこんなにわかりやすいのも初めてです。

普段なら本当にたくさんの人で埋め尽くされている場所です。

 

参拝料を支払う料金所もしっかり透明のシールドが設置されており、コロナ対策がしてあります。

 

ほとんど人がいないので、密ということもなく、スーパーに買い物へ行くよりずっと安全だと思います。

真っ暗なお堂の中を歩く「胎内巡り」は、手すりを持たざるを得ないからか、中止になっていました。

 

最後に抹茶を飲んで帰りましたが、本当に人が少なくて、歩いていてもストレスはないし、お店にもすっと入れるし、普段よりも満足度の高い観光ができたような気がします。

 

実際に歩いてみて感じたこと

緊急事態宣言が明けて直後の京都を実際に歩いてみて感じたのは、京都がどれだけ観光という産業に頼っているか、ということです。

観光客は確実に減っています。八坂神社で屋台を開いているお兄さんの話では、緊急事態宣言が明けた後でも、十分の一も帰ってきていないそうです。

先斗町や祇園、清水寺の周りでもたくさんのお店がシャッターを閉めていました。このあたりの家賃ってどのくらいなのでしょうか。ひと月に数百万円というお店も決して少なくないと思います。

これだけ観光客が減ってしまった京都で、どれだけのお店が耐えられるでしょうか。

 

僕の大好きな京都の風景は、これからの一年でガラッと変わってしまうかもしれません。

 

緊急事態宣言が明けたからと言って、コロナウイルスの感染拡大が終息したわけではありません。

実際に東京や北九州など、再び感染者数が増えているという現状もあります。

 

そんな中、京都に観光に来てください!!とはとても言えません。

しかし、お店はもちろん、神社やお寺でも感染拡大防止の対策は進んでいます。そのことは京都を歩いてみて肌で感じました。

 

どうか、一日でも早く、平穏な日常が戻ってきますように……。

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