「あなたは動物が好きですか?じゃあ、どうしてその動物を殺して食べることができるのですか?」
最初に伝えておこう。
この記事は、とんでもなく長い。
私が書いた作品の中で比較しても、本の次に長い。
それはこの問題を取り上げるにあたり、一ヶ月以上にわたる密着取材を行なったのち、当事者と専門家にもインタビューを行い、それらを全て、ひとつの記事につめこんだからである。
(雨の日の取材)
興味のない部分は、飛ばしてもらっても構わない。
だけど私は、人間が多くの命を犠牲にしているとういう事実がある限り、どんなに面倒臭くても知るべきだという思いでこれを取り上げた。
ちょっと時間がかかるかもしれないけれど、もしもあなたが「肉」を食べたことがあるのなら、どうか最後まで読んで欲しい。
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まずは問いかけたい。
あなたは動物が、好きですか?
この質問を通してみなさんの頭に浮かんでくるのは、きっと一般的に「愛玩動物」つまりは「ペット」として共存のために改良され、人間とともに生活している動物たちではないだろうか?
私も含め、ペットを飼っているオーナーからすると、彼らは生活の中心と言っても良いほど、大切な存在だからである。
しかし、今回の記事に登場するのは、「牛」。
みなさんの頭に浮かんできた愛玩動物のことはさておき、今年は丑(うし)年。
スポットライトを当てたいのは、彼女たちである。
最初の問いで「動物が好き」だと答えたあなた。
犬や猫が好きなのは、安易に想像がつく。
では、「牛」はどうだろう。
突然言われてもぴんと来ないかもしれないが、記憶を辿って見てほしい。
普段はあまり触れることがなくても、動物園やふれあい牧場なんかに行くと大きな体とギャップのあるおっとりとした愛らしい瞳に見つめられて、可愛いなと感じた記憶のある人も多いのではないだろうか。
では、犬も好きで、牛も好きだ!と答えた人に別の質問を投げかけたい。
どうして犬は殺せないのに、牛は殺して食べることができるの?
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かくいう私も、仲の良い友人はみんなが頷く動物好きだった。
「動物が好きですか?」と聞かれたら、頭がもげるほどに頷くだろう。
そんな私が選択的無関心を決め込んでいた話題が、今回踏み込みたいテーマだ。
大雑把に言えば、私は気持ち悪かったのだ。
丑年特集で「牛さんは可愛い」と言って笑う女優が、次のカットにはその牛が刻まれたミンチで作ったハンバーグを食べていることが。
そしてそれと全く同じことをしながら、その矛盾に見て見ぬ振りを決め込んでいる自分自身が。
今回のテーマはとってもシンプル。
「あなたは動物が好きですか?じゃあ、どうしてその動物を殺して食べることができるのですか?」 である。