みなさん、こんにちは。 歯科材料メーカーに勤務している、きじ田とらみと申します。
突然ですが、みなさんは虫歯が出来やすい体質でしょうか?私は元々できにくい体質で、麻酔を伴う程の大きな治療はしたことがありません。ただ、同じように生活をしている家族は虫歯になりやすく、個人差があることを日々実感しています。
今日はハミガキの視点からオーラルケアについて綴っていきたいと思います。
もしかすると、目次を読まれた段階で、「こんなあたり前の話、読む気にならない。」と立ち去ろうとされるかもしれません。
今回、畑違いのメディアでこうした話題を発信するかとても悩みました。
ただ、どんな人であっても美味しいものを食べられず、愛する人と会話ができなかったら、その人生の楽しさは半減してしまうと私は思っています。
私は現職にて、多くの歯科の症例を見る中で、若い頃から歯科に対して正しい知識があれば、一日でも長く幸せな時間を過ごすことができると確信しました。
そこで私からのお願いです。
騙されたと思ってこの記事を読み終える3分程の時間を、私にいただけないでしょうか。
全てご存知の内容であれば、あなたのハミガキリテラシーはとても高いですし、ほんの少しでも新しい知識が手に入れば、大袈裟ではなくあなたの健康寿命が少しでも延長するかもしれません。
少しでも気になって、この記事を読もうと思ってくださったのであれば、最後までご覧いただけますと嬉しいです。
目次
どうして虫歯や歯周病になってはいけないのか
そもそもどうして、虫歯や歯周病になってはいけないかを簡単に説明します。
口には大きく分類すると3つの機能があります。
- 食べ物を噛む 咀嚼
- 飲み込む 嚥下
- 話す 発音
どれも生きていく上では欠かせない機能です。
虫歯で歯を失うと、食べ物を十分に噛むことができませんし、同時に咀嚼も難しくなります。また、話すことも難しくなります。
歯周病になると、歯を失う可能性が高まりますし、口腔内の菌が脳や肺などの臓器を汚染していきます。アルツハイマーや誤嚥性肺炎も歯周病菌が原因となっていることが多く、また高血圧や糖尿病とも深い因果関係があります。
みなさんの年代だと、実感が湧きにくいかもしれませんが、祖父母や両親の世代の方たちを想像していただくと身近に感じることができるかもしれません。
原因は、小さい頃から言われていた事と同じ
虫歯や歯周病になる代表的な原因は以下の3つです。
- 甘いものや酸っぱいものが頻繁に口の中に入っている
- ハミガキの頻度が少ない、もしくはやり方が間違っている
- 唾液の量が少なく、自浄作用がない
小さい頃より親や先生から、耳にタコができるくらい聞かされた話かもしれませんね。
あと、タバコも歯周病のリスクをグンと引き上げます。
ただ、歯科医師や歯科衛生士の方と臨床のお話をして実感するのは、環境や体質の違いはあれ、虫歯治療や歯周病治療を受けている患者さんは大抵実践できていないということ。
どれもとても大切な要素なのですが、今日はハミガキのやり方に焦点を絞ってご紹介していきます。
ハミガキ粉の選び方!必要なフッ素をしっかりと塗布する
ハミガキ粉は沢山のラインナップがあり、さまざまな視点から選ぶことができますが、私が重要視しているポイントはフッ素の含有量と塗布量の2点です。
フッ素は歯の再石灰化を促す成分で、虫歯予防には欠かせない成分です。
効果的に使用する為には、しっかり歯に行き渡らせる必要があります。
そこで、フッ素高配合に分類されている、「フッ素1450μpm含有」のハミガキがおすすめです。
元々日本では、薬事法にて1000μpmが上限と規定されていたのですが、2017年に改正されて1500μmpまでの含有が許可されました。
ただ、日本では比較的フッ素に対する認識がかなり遅れていると言われています。スウェーデン、アメリカ、ドイツなどの歯科先進国ではそれよりも前からフッ素の有効性が認知されていて、日本の法改正より早い時期からフッ素高配合のハミガキ粉の使用が許可されていました。
また、塗布量もとても大切です。
フッ素の効果が浸透していなかったひと昔前は、こんな発言をする歯科医師もいました。
「歯磨き粉をつけすぎると、しっかりと磨けないから、たっぷりつけずに少量つけてください。」
大体、成人であれば1∼2cmくらいが適正量だと言われています。
昔は、今ほどフッ素の有効性が実証されていなかったので、このような発言が多く広まっていたのですが、今はそうではないので是非積極的に活用してくださいね。未就学児は年齢に応じた子ども用のハミガキ粉を使用してください。
ただ、吐き出す際に沢山うがいをしてしまうと、フッ素をはじめとした有効成分が口腔内に残りにくい状態になってしまいます。
好みの味のものや、泡立ちの小さいものを使用するのがおすすめです。
ハミガキはしっかり!適切な力と硬さで
ハミガキには適切な力があります。
弱すぎると歯垢を落とすことができませんし、強すぎると歯の表面のエナメル質を傷つけてしまい歯垢付着しやすくなってしまいます。
ハミガキの力に自信のない方は、電動ハブラシや適切な力をオーバーした時に教えてくれる機構のついたハブラシもおすすめです。
あと、最近は「柔らかめ」のハブラシを使われことが多いですが、基本的には「普通の硬さ」が歯垢を落とすのに適しています。
近年は、ハブラシ売り場でも柔らかめの歯ブラシが目立つスペースに陳列されていることが多いです。
ただ、実際、歯科衛生士さんにお話を伺うと、歯垢が落ちていない患者さんを見ると、柔らかめのハブラシで、時間をかけて磨かれる方が多いとのこと。
どうして磨き残しができてしまうのかというと、歯垢は単なる「食べカス」ではなく、「バイオフィルム(細菌の塊)」だからです。
お風呂場やキッチンの排水溝を想像してみてください。しばらく掃除するのをサボってしまった時、ヌルついた排水溝の汚れを落とそうとするならば、洗剤などの化学的な力に頼るだけでなく、しっかりとブラシやスポンジで物理的に擦らないと落とすことは難しいですよね?
歯垢も水回りのぬるつきも場所は違えど、同じバイオフィルムです。
傷つけてしまうほど強く磨いてはいけませんが、しっかりと磨くことが必要です。
疾患を抱えている場合は柔らかめを推奨されたり、タバコなどで著しく歯が着色している場合は硬めをおすすめされることあります。
確実に適切なハブラシを選びたい時には、歯科医院でプロに相談することをおすすめします。
補助用品も活用する
歯間ブラシやデンタルフロスを使用すると、ハブラシの届きにくい歯と歯の間の歯垢除去にとても有効です。
そして私がおすすめしたいのは洗口液の活用です。
口腔内をハブラシや歯間ブラシな物理的に洗浄できるのは、たった25パーセントと言われています。
残りの 75%である歯茎や舌をはじめとした口腔内の粘膜を洗浄するには洗口液がとても有効です。是非、続けやすいものを見つけて、試してみていただけると嬉しいです。
あとがき
いかがだったでしょうか?
この記事は、自分が大切に思っている人達に語りかけるつもりで、できるだけ重要なことをかいつまんで綴らせていただきました。読んでいただいた中で、少しでもあなたの歯科に対する知識が高まって、ご自身の健康に目を向けていただくきっかけとなれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。