過去に外壁塗装やリフォームの営業をしていた経験がある猫野きなこです。
私は大手ハウスメーカーのリフォーム部門で働いていました。築年数が経った一戸建ては屋根と外壁の雨漏りや経年劣化を防ぐために塗装をする必要があります。
しかし、ハウスメーカーの外壁塗装の費用は高いため、相見積もりをする人が少なくありません。一部のお客さんは飛び込みのリフォーム業者やポスティングのチラシで見た安い外壁費用につられて契約し、結果的に失敗してしまった人がたくさんいました。
外壁塗装が安いということは、悪い理由が隠れている確率が高いです。
今回は外壁塗装で失敗する5つの例と費用相場、おすすめの塗装会社、塗装を長持ちさせる基礎知識を紹介します。
目次
外壁塗装で失敗する5つの例
私は仕事で一戸建ての外壁塗装の無料診断をたくさんしてきましたが、安い費用で契約して後悔している人を何人も見てきました。
悪質な業者に引っかからないために、よくある5つの失敗例を紹介します。
1:費用が安すぎる
外壁塗装の品質はどこも同じではありません。
永久補償や激安価格というチラシにつられて塗装した結果、1~2年で塗装がはがれてきたという例があります。
粗悪な塗料を使っているのに永久保証という説明をし、全国をまわっている悪質な業者もいます。数年経ってから電話をしても事務所はもぬけの殻です。
外壁塗装は詐欺にあっても気付くのが遅くなるので逃げられやすいです。あまりにも安すぎる外壁塗装はおすすめしません。
2:契約を急がせる
契約を急がせるためのよくある手口が以下のような内容です。
- 近所の〇〇さんの外壁塗装を今している
- 近所の塗装が終わるタイミングで契約すると足場を安くできる
- 角地で外壁塗装の宣伝になるから今なら安くできる
- 今月だけのキャンペーンで安くできる
近所の人の名前を出すのは、自社に安心感を持ってもらう作戦です。「キャンペーン」や「今なら」という言葉で安くできると説明し、契約を急がせる場合が多いです。
「近所の塗装が終わるタイミングで塗装すれば足場代を安くできる」というセールストークもあります。
「角地や目立つ場所だから今なら安くできる」とあなたの家だけ特別という説明をしていても全ての家に言っているものです。
よく知らない業者の「今だけ」という説明を鵜呑みにして急いで契約をしてしまわないように注意しましょう。
3:必要な工程をしていない
見積書で「外壁塗装一式」という項目で大雑把にまとめられている場合は注意が必要です。
一式とは工賃や内容をうやむやにできる便利な言葉でもあるので、必要な工程を含んでいない場合があるからです。
書面に書いてないと「言った言わない」になるので、必要な工程は書面で確認できるようにしてもらいましょう。
外壁塗装は大きくわけて10の必要な工程があります。
- 近所への挨拶…騒音や塗装の匂いなど工程の挨拶
- 足場の設置…落下や塗料の飛散を防ぐためネット必須
- 高圧洗浄…外壁と屋根をきれいに洗う
- 下地処理…金属のサビを削る、外壁のひび補修など
- 養生…窓や室外機などをビニールでカバーする
- シーリング作業…古いシーリングのやり替え
- 下塗り…塗料を密着させる
- 上塗り2回…中塗りと上塗りともいう
- 点検…数人での点検と必要なら手直し
- 足場の解体…置き忘れがあると重大な事故につながる
隣の家と距離が近い場合は塗装や匂いが飛散する可能性があるため、洗濯物を中で干してもらったり車を移動してもらう必要があります。
なんの説明もなしで塗装が飛散した場合、ご近所トラブルになってしまうので近隣への挨拶は必須です。私の会社では手土産と工程表を持参で挨拶まわりを必ず無料でしていましたが、安い塗装業者はしない場合がほとんどです。
あまりに距離が近い場合は吹付け塗装ができないので、ローラーや刷毛を使った手塗りになるため費用が少し高くなります。
高圧洗浄や下地処理、シーリング作業(コーキング)をやらずに上塗り1回だけをする費用で安く見積もっている業者もいます。
そのような塗装はすぐに剥がれたり、ひびがはいって最初の状態よりも悪くなります。それだけではなく、外壁塗装をやりかえる時に全て剥がさないといけないため無駄に費用がかかってしまいます。
必要な工程は業者におまかせにせず、契約前にきちんと確認しましょう。
4:簡易な足場で作業している
足場のレベルはピンからキリまであります。
足場の費用はきちんとした会社であるほど費用が高くなります。ネットを全面に張り巡らせる必要がありますし、強風でも倒壊しない安全な足場を組む必要があるからです。
安全基準を満たしていない足場は転落事故にもつながるため非常に危険です。自分の敷地で重大な事故が起こったらイヤですよね。
ネットは簡易なものであるほど塗装が飛散しやすいです。目の細かいネットを全面にかけるのが基本です。
足場の写真やネットはどういうものを使うのか、契約前に説明してもらったり、写真や実物を見せてもらうのがいいでしょう。
5:屋根を塗っていない
悪質な業者になると、塗装する契約になっている場所でも下から見えない部分であれば塗っていないというケースもありました。
塗装費用に100万円以上払ったにも関わらず、全く屋根を塗装していなかった例もあります。
普通は見えない部分は色んな角度で写真を撮って書類にして渡します。塗装会社としてもきちんと塗った証拠になるからです。
終わった後にどういう書類をもらえるのか、補償は何年までか、どこまで無償でやり直してくれるのかを事前に確認しましょう。
外壁塗装の費用相場ってどれくらい
外壁塗装の費用の相場は一戸建ての大きさや形によって変わってきます。
大まかにはなりますが、一般的な30坪の家の外壁塗装にかかる費用の相場は以下のとおりです。(シリコン系塗料)
- 足場・高圧洗浄・養生・ネット・廃棄処理…25~30万円
- 外壁塗装(下塗り・中塗り・上塗り)・シーリング・下地処理…50~70万円
- 屋根塗装(下塗り・中塗り・上塗り)・タスペーサー(縁切り)・下地処理…25~35万
タスペーサー(縁切り)とは屋根と屋根が重なる部分が塗料で塞がらないようにスキマを作る作業です。これをしないと雨水の排出ができなくなって雨漏りの原因になります。
30坪の一戸建ての外壁塗装で75~100万円、外壁塗装+屋根塗装は100~135万円が一般的な費用の目安になります。
しかし、屋根や家の形が複雑になるほど足場の費用は高くなりますし、吹付けや手塗りによっても塗装の単価は変わります。
ハウスメーカーのリフォーム会社の場合は下請けの中間マージンを見積もりに含んでいるため、3割程度の粗利がのって価格はさらに高くなる場合があります。
おすすめの塗装会社はどこ?
一戸建てを建てたハウスメーカーのリフォーム会社で外壁塗装をするほうがアフターフォローの点では比較的安心です。
建てたあとの悪い口コミは新築にも影響するため、有名企業であるほど粗悪な商品を扱うことは考えにくいですし、外壁に合う塗料を提案してもらえるからです。
ただ、安さを売りにしているハウスメーカーは人手が少ない場合が多く、一概にいいとは言えません。アフターフォローの口コミを事前にチェックしたほうがいいでしょう。
安くて品質の高い外壁塗装をするためには、その下請けの塗装会社に直接依頼をすることです。
しかし、中間マージンをハウスメーカーが取るということは責任の所在が複数あるということでもあります。塗装会社に直接頼んだ場合、その会社が倒産したり対応してくれない時の保証はどこにもありません。
ハウスメーカーは比較的アフターフォローが手厚いですが、安さが売りの塗装業者にアフターフォロー専門の人員がいることは少ないです。
外壁塗装は10年保証といった長い保証期間を売りにしている場合がありますが、その間に倒産してしまうような会社では意味がありません。
「アフターフォローは期待しないから安く外壁塗装をしたい」という場合は塗装会社に直接依頼するのもいいでしょう。
もしくは、地元で長く経営している地域密着型の塗装会社を選ぶのがおすすめです。
外壁塗装の適正な時期
外壁塗装の適正な時期は築15年前後になったら塗り替えることをおすすめします。
この時期を逃すと、塗装費用が高くなる場合があるからです。
あまりにも築年数が経ってしまうと経年劣化がひどくなって、下地処理の費用が高くなったり、交換になってしまうため割高になってしまいます。
シーリングに亀裂が入ったまま長い間放っておくと、亀裂から雨水が入ります。その侵入した雨水が断熱材に腐敗やカビが発生させたり、外壁に反りや歪みが起こる原因になるのです。
そうなると、外壁や断熱材の交換費用が追加で必要になってきます。
雨水を屋根から下に流す雨樋は塗装をすれば長持ちしますが、塗装がはがれると劣化して割れやすくなるため交換になる場合があります。
外壁塗装を適正な時期にすることによって経年劣化を防ぐことができ、塗装価格を安くおさえることができるのです。
外壁塗装によくない季節
外壁塗装にとってよくない季節は以下のような時期です。
- 梅雨の時期…工期が長くなる
- 湿気が多い時期…塗料が乾きにくい
- 雪が降る時期…塗装ができない
- 寒い時期…塗料が固まりにくい
- 台風の時期…足場のネットを外すため工期が長くなる
つまり外壁塗装によくない時期は6月、7月の夏の雨季と、12月~2月の冬です。
台風は8月と9月が多いですが、晴れた日が続けば塗装に適さない時期というわけではありません。
ただ、室外機に養生がしてある間はエアコンが使用できないので、夏場の暑い時期は不便さを感じるかもしれません。
雨に塗れた外壁を乾かさないまま塗装してしまうと、ひび割れや剥がれの原因になってしまいます。しっかりと乾燥させる必要があるため、工期が長くなってしまうのです。
悪徳業者は早く塗装を終わらせてお金をもらいたいので、外壁が濡れていても上から塗装してしまう場合が多いです。
工期の長ささえ気にならなければ絶対に塗ってはいけないことはありませんが、工期を短くスムーズに終わらせたい場合は3月~5月の春頃と10月、11月の秋頃がおすすめです。
まとめ:あまりにも安すぎる見積もりには警戒を!
外壁塗装をする時期は築12年から15年くらい経った頃なので、子供がいる場合は学費や習い事などにお金がかかる時期と重なります。
できるだけ費用を安くしたいと考える人は多いかもしれません。
しかし、外壁塗装の耐用年数は最低でも10年、長くて15年ほど品質を維持する必要があるので、あまりにも安すぎる見積もりは警戒したほうがいいです。
一度でも粗悪な塗料で塗ってしまうと、その後どんなにいい塗料を塗っても剥がれやすくなってしまいます。
全ての塗料を剥がす費用はかなり手間がかかりますし、費用も高額になるので、外壁塗装の業者選びは慎重にしましょう。
外壁塗装は金額が高く、ごまかしもきくので悪徳業者が少なくありません。
無料外壁診断を利用してわざと屋根や外壁を壊し、「割れていましたよ!すぐに直さないと雨漏りしますよ!」と危険を煽る詐欺のような業者もいます。
よくわからない飛び込み業者に無料診断を頼むのはやめたほうがいいです。
外壁塗装は基礎知識があれば失敗を防ぐことができるので、適正な相場や必要な工程を知っておいて損はありません。
実際にリフォーム営業として働いていた知識ですが、今回のまとめが少しでもお役にたてたら嬉しいです。
ライター:猫野きなこ
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