駅の出口をふさぎながら失礼します。ロカフレ編集部のダイソン後藤です。
僕が立っている「花園町駅」というのは大阪市営地下鉄四つ橋線の駅で、この駅がある場所は大阪市西成区です。
西成区と言えば、関西に住む人間が口をそろえて「あそこはやばい。」と言うほど、治安が悪いとされている場所なんですよね。
実際僕も関東の人なんかに西成のことを聞かれれたら、行ったことないんですけど、「あー、あそこはやばいよ。」と言っていました。
でもそれって本当なの?
まず僕自身、行ったことがないにも関わらず、安易に「やばい」なんて言っていましたが、もしかしたらみんな行ったこともないのに、先入観でやばいやばい言ってるだけじゃないの?
というわけで今回は、西成に詳しい2人をお呼びして、西成区を案内してもらいました!
実際に行ってみて感じたことを僕なりにお伝えしようと思います。それでは行ってみましょう!!
目次
西成案内人
それでは今回西成区を案内してくれるお二人をご紹介します。
1人目はロカフレライターのぼりさん。
自己主張の激しすぎるTシャツを身にまとっているぼりさん。実は大阪 北新地の割烹料理屋で板前をしていた時期があり、その社員寮が西成区にあったので、1年半ほど西成に住んでいたそうです。
もう5年くらい前のことなので、当時の話なんかも聞いていこうと思います。
そして2人目が西成区で現役バリバリの教員として働いているTさん。
現役バリバリの教員なので、仕事への影響が出ないよう、濃い目にモザイクをかけさせてもらっています。
Tさんは世間の西成区へのイメージに違和感を感じておられるそうで、今回お話を引き受けてくださいました。せっかくなのでコンプライアンス限界のところまでぶっちゃけてもらいましょう!
西成区を歩いてみよう
西成区と言ってもかなり広くて、大きく分けると3つのエリアに分類することができます。
この赤い部分が西成区の全体図
すごーく大雑把に分けるとこんな感じ!
「あいりん地区」「飛田新地」がかなり異色なので、残りを全てまとめちゃいました。現地の方には「ひとまとめにするんじゃねーよ!」と怒られてしまいそうですが、わかりやすさの為です。ご容赦ください。
激安スーパー玉出
さて、「鶴見橋」と「あいりん地区」の境目にある花園町駅を出ると、西成区の象徴とも言える激安スーパー「玉出」がありました。
「ちょっとこっち来てください。」
ぼりさんに案内されるがままに店の側面に回ると
許可とってるのかな?
さっそく西成区の洗礼を浴びたような気がする。ごまかす気を一切感じないド直球のパクリです。
多分こっちはオリジナル
「いらっしゃいま」の言葉に迎えられて中に入ろうとすると
玉出名物1円セール
見たこともない栄養ドリンクが45円で売られていました。こえぇ。
鶴見橋商店街
鶴見橋商店街とは、花園町駅から800mほど続く非常に長い商店街です。
「天神橋筋商店街」「心斎橋筋商店街」とともに「大阪3橋」と呼ばれるほど!
僕たちが訪れたときも、シャッターが閉まっている店は増えているものの、たくさんの人で賑わっていました。
自転車は押すのがルールらしい。
20回くらい轢かれかけました。
「ここです!」
「あとね、ここにバイク停めてたんだけど、出勤しようとしたらなくなってた。」
西成の学校について伝えたいこと
ぼりさんの過激な思い出話が聞けたところで、Tさんからも詳しくお話伺いたいので、昼食を兼ねて商店街の中にある焼肉屋さんへ
光州園(大阪府大阪市西成区鶴見橋2丁目5-12)
今日は本音で話してもらいましょう。
西成区の学校にまつわる怖い噂は多くて
- タバコは日常茶飯事すぎて教員もスルー
- 廊下を原チャが爆走してる
- 女性教員は放課後一人で廊下を歩いてはいけない
- 覚せい剤が取引されてる
- 西成区に配属されている間は結婚はしない
などなど……
確かにこれを聞くと「まじかよ。」ってなりますよね。
そういえば僕を含めて今回集まってもらった3人は全員ゴツイ。もしかしたら僕も無意識の内にそういうメンバーに声をかけていたのかもしれません。
少なくとも編集長はムリだな。
アツい話に自然と真顔になる。
仕事量が増えて給料変わらないのに不満がないってすごいな。最近教員の悪いニュースが目立ってますが、こういう先生方もおられるってことですね。
現役教員のアツいお話を聞くことができました。実際、昔はかなり「噂」に近い状態だったらしいのですが、ここ数年で本当に変わってきているそうです。
「学校を良くしたい。」という思いで身を粉にして働いておられる先生方がいれば今後もますます良い学校になるのでないでしょうか。
あいりん地区に行ってみた
さて、教育現場の話が聞けたところで、よりディープな場所へ行ってみましょう。
最初にも説明した通り、西成区でも特に治安が悪いとされているのが「あいりん地区」です。西成区についての噂は、ほとんどあいりん地区を指していることが多いのです。
あいりん地区は水色の部分
見ていただけるとわかるように、東西は南海電鉄の高架と阪神高速の高架、北は大通りに囲まれていて、高架下や大通りを超えるとあいりん地区だというのがわかりやすくなっています。
何となく隔離されているような雰囲気も受けます。
あいりん地区の自販機は格安
50円が基本ですが
つめた~い「ほっとレモン」は30円!
いくつかの施設も回りましたが、全体的に防犯意識が高く、頑丈なのが特徴。
釜ヶ崎支援機構 南事務所
西成消防署 海道出張所
西成警察署
元萩之茶屋小学校
民家でも窓には必ず格子がかかっていました。
あと、引きの写真が少ないのは、こういう施設の近くには人が多くて、ちょっとカメラを向けられる雰囲気ではなかったからです。
この地図に載っている「三角公園」と「四角公園」は炊き出しが行われる公園として有名で、公園内にはいくつものテントが立っています。本来なら公のものである公園内に個人のテントを張ることはできませんが、ここだけは暗黙の了解として見逃されているらしい。
三角公園で話を聞いてみた。
早速聞き込みを始めたいと思います。
最初に言っておきたいのは、皆さん本当に優しく、質問に答えてくださったということ。公園に入る前や、声をかける前は、実はすごく緊張していたのですが、完全に杞憂に終わりました。
しかし、様々な事情があって写真を撮られると困る方も多いので、無断での写真撮影は絶対にNGです。(覚〇剤で4回捕まった人とか)
まずはオシャレな格好のおっちゃん
意外と西成区の変化を受け入れておられました。昔は昔で良かったものの、今の西成も悪くないのだそう。
※ノミ屋とは、競馬などで勝手に掛け金を集めて配当する人。法律で禁止されており、三角公園でも数年前に一斉摘発が行われ今ではこういった類のギャンブルは行われていない。
顔は恥ずかしいけどうつむきでなら、と撮影OKしてくれたおっちゃん
その後も取材を続けると、皆さん顔出しは基本的にNGでしたが、ほとんどの方が丁寧に対応してくださいました。断られるのも、「最近来たばっかりやから分らんねん。」というようなものばかり。
写真は恥ずかしいから、ごめんな。と言ってジュースをくださる方も!
皆さんの声をまとめると、「摘発が厳しくなって生きにくくなった。」という声が確かにある一方で、「静かになったから過ごしやすいよ。」というようなプラスの意見も。
共通していたのは、ここ数年でかなり変わったという事実。これは確かなようです。
朝8時から夜11時ごろまでつくというTV
この公園で過ごす人にとって憩いの場
手前のゴミと奥の花の違和感……
皆さん本当に良い人ばかりでした。冷やかしのような態度で来ることだけは絶対にやめてください。
あいりん地区は住みやすい?
せっかくなので、あいりん地区内のお店に入ってみようと思います。
最近あいりん地区にはカラオケ居酒屋が増えてきたんだそう。イメージ的には居酒屋よりスナックのほうが近いかな。
こちらでも乾杯
美人な店員さんにお話を聞けました。
確かにあいりん地区にはカラオケ居酒屋がめちゃめちゃ多いです。「日本人がやってる店です。」って看板が出てるくらいだから、そうじゃない店も多いんだろうなぁ。
おつまみは300円~500円くらいで、カラオケ代は無料です。安いっ!
スナックって実は行ったことないんですけどこんな感じなら大いにありだなぁ。
ちなみにこんなサービスも
さっそくぼりさんが挑戦するも、87点でニアミス
続いて僕も挑戦
88点でチューハイ獲得!(ドヤ)
中学を卒業するまでは中国で暮らし、そこから西成のあいりん地区で生活している店員さん。あいりん地区はガヤガヤしている場所ではあるけど、今まで揉めたりしたことはないそうです。
話にもあったように、飲みに来るには良い場所です!近所にこの店があったら通ってるかも。
あいりん地区は今まさに変わろうとしている
おもしろい看板見つけましたよ!
日本一ディープな場所のカレーライス専門店
ぼりさんの直感を信じて入店!
ものすごく陽気な店主に招き入れていただきました。ぼりさんの直感、従って正解だったみたいです。
メニューは、牛すじの入った「どてカリー」と、動物性たんぱく質が一切入っていない「ベジカリー」の2種類から選べます。
どっちも食べたい!って人も安心してください。半分ずつ入っている「あいがけカリー」もあります。
カレーが出てくるまでの間(すぐに出てきた)は、これぞ関西人というトークで盛り上げてくれます。しゃべりが達者すぎて元々芸人さんだったのではないかと疑うくらい。
手前が動物性たんぱく質が一切入っていない「べじカリー」
独自にブレンドされたスパイスで作られたカレーは絶品
西成で生まれ育ち、進学と同時に一度は離れた西成に3年前戻ってきた店主さん。そんな故郷のことを想う店主さんは、今まさに西成が転換期を迎えているのだと話してくれました。
京都の河原町や、大阪の難波には、居酒屋もあればカフェもあって、服屋も雑貨屋も本屋もある。今のあいりん地区のように「これしかない。」という状態、例えば「カラオケ居酒屋しかない。」という状態ではその客層しか来ないし、店の売り上げが多少あって食べていけるとしても、町として今後発展しないのではないか、とのことです。
アイコン用に写真を撮らせて欲しいと伝えたら「テンガロンハットにした方がいいかな?」と帽子を取り換えてくれる陽気な店主さん。
左右で2パターン撮らせてもらいました。
お酒も豊富でカレーも美味しく、何より店主がおもしろい!皆さんの西成デビューは「薬味堂」をオススメします。
西成に吹く新しい風
「薬味堂」のお兄さんが紹介してくれた、最近できたばかりというソフトクリーム屋さんもせっかくなので行ってみました。
ものすごく「西成らしくない」店構え
インスタで情報を発信するなど、確かに若者向け
今年の3/16日にオープンしたばかりのこの店。ケンブリッジ飛鳥似のイケメン店員さんにお話を伺いました。
おすすめのイチゴ練乳を注文
おじさま……想像できない。
おじさんが食べても美味しかったです。
今日は店内にはおられませんでしたが、美人のお姉さんと姉弟で営業している「夜のkawaiiソフトクリーム屋さん peccapu」ぜひ一度どうぞ!
もしかしたら、この店から西成が変わっていくかもしれません。
日本最大級の歓楽地 飛田新地
西成区を語る上でもう一つ外せないのが「飛田新地」です。大正時代に築かれた遊郭で、1958年の売春防止法以降、表向きは「料亭」ですが、内容は変わっていません。
飛田新地「料理」組合
この看板が出ているところが「料亭」なんですけど、こんな通りが何本もあります。一軒ごとに女の子が座っていて目の前で見れるんですよ。で、気に入ったらそこに入る。パネルマジックなんて一切存在しません。この目で直接見ますからね。通るだけで目の保養になります。
西成は下町情緒がある。
もう2周くらいしたいところですが、同行してもらっていたカメラマン(女性)に白い目で見られだしたので近くの焼き鳥屋さんに入ります。
ものすごく気さくな夫婦がやっておられました。
西成では20時を過ぎるころになると警察官が巡回してほかの地域よりも頻繁に職質をかけるらしい。
そんな話をしている間にも店の前を知り合いが通りかかると店を出て親しげに話しにいくおっちゃん。こういう細かい気配りがあるから、みんなに受け入れられているんだろうなぁ……
焼き鳥盛り合わせ 370円 安い!
どこが住みやすいか、どんな街が好きかって人それぞれなんですよね。田舎が好きな人もいれば都会が好きな人もいる。静かなところが好きな人もいればガチャガチャした場所が好きな人もいる。
ただ一つ言えるのは、自分の好きな場所を悪く言われて良い気はしないってことですね。
西成を一日回ってみて
最後にぼりさんおすすめのご飯屋さんに行って、今日のことを振り返りました。
鳥久 本店
すごくオシャレ!
超新鮮な鳥の刺身が食べられる!
まとめ的なもの
アルコールが入っているとは言え、オッサン三人がこんな陽気なポーズをとってしまうくらい楽しい場所でした。
実際に行ってみると、色んな感情が湧いてくると思いますが、それは決して負の部分だけではないはず。
ここでは書けないような話もたくさん聞いて、内側では色々と変化が起こっているのを感じました。しかし外から人が来ないと、内側でどれだけ頑張っていても西成は変われないような気がします。
今でも治安が良いとは言えません。だから安易に来てくださいとも言えません。
それでも僕は、今の西成を、西成に住む人たちを皆さんに知ってもらいたいです。