この世のすべての大人たちに質問です!
笑いたくない時に笑っていませんか?
頭を下げたくない時に唇をかんで謝っていませんか?
「いいですね!」って自分で思うよりも先に、誰かの顔色を見て口にしていませんか?
私はそうでした。
それが正解だと思ってました。そうやって自分に少しずつ嘘をついていく毎日に違和感を感じながら会社に通い続けていたのはもう一年前のこと。
東京がイヤになった訳じゃない。ただ、ジレンマに押し潰されても、しがみつかないと生きていけないのがこの街の現実。そんな葛藤に疲れたある日、思い切って”大人のふり”辞めちゃいました。
働くこと=生きることだけど、「バリバリ」とか「ヒリヒリ」だけが似合う社会人じゃなくったって、いいはずなんですよね。
子供の頃は田んぼのあぜ道を駆け回って、地方都市で学生時代を過ごし、都会暮らしも板についてきたはずのわたし。
色んな土地で暮らしてきたけど、一体これからどこでなら自分らしく日々を送れるんだろうと悩んでいた矢先。知り合いから「石垣島で働いてみない?」と声をかけてもらいました。
確かに南の島って、みんな朗らかに笑ってていつも陽気なイメージ。東北生まれのわたしからすると、まるで外国みたいに見たことのない光景が見られそうな土地。
潮風を感じながら島で働く人たちには、一体どんな景色が見えているのだろう?そこに行けば本当に「なんくるないさー!」なの?
正解があるかはわからないけど、わたくし さとうひより(@hi4r1_xo)が新たな可能性を探るべく実際に石垣島に行って1ヶ月生活し、インタビューしてくることになりました!
とは言っても
困っていました。私は非常に困っていました。
島で暮らしながら、出逢った人たちに取材のお願いをしていたものの、噛み合わない沖縄時間によって話はどんどんお蔵入りに。
と思い立ち
向かったのは観光客で賑わう商店街「ユーグレナモール」
お土産屋さんが所狭しと立ち並びます
早速かわいらしい雑貨のお店を発見。レッツ・突撃インタビュー!
マンネリ化した都会に飽きて、海と自然を感じられる場所に。
アクセサリー作家 トッシーさん(43)
ーこんにちは!まずは、この島にやってきたキッカケから伺ってもいいですか?
地元は千葉県の柏市ってところなんだけど、マンネリ化した都会に嫌気がさしちゃったんだよね。最初に来たのは24歳の時だったかな。海が好きだったから。テレビで観た「日本最大のジャングル」っていうのに惹かれたんだ。来た当時は釣り具のお店で働きながら、ここを拠点にまた旅をしたりしてたよ。
ーなるほど。都会で暮らしてきた人だからこそ、都会がマンネリ化して見えて、自然に強く惹かれるというのはわかる気がします。この島で実際に暮らしてみて、気に入っていることはありますか?
町が小さくて、人が集まってくる場所が決まってるのがいいよね。一番気に入ってるのは今暮らしてる家かな。一軒家で広いから、アトリエとして使ったり、畑をやったり。都会ではできない暮らしだと思うよ。
「日本最大のジャングル」と言われる西表島や竹富島には、実は那覇ではなく石垣島からしか行けないんです!「いわゆる沖縄」的な商業的な観光地よりも、大自然を満喫したいという理由で訪れる方も多い石垣島。コンクリートジャングルに見慣れた都会の人だからこそ刺激的で、創作意欲が湧くのも頷けます。
宇宙・海・波・太陽をテーマとした
オリジナルグッズ製作
●PLANET OCEAN
沖縄県石垣市 大川207番地
次に向かったのはユーグレナモールからほど近い730交差点。服屋さんやお菓子屋さんなどオシャレなお店も多く並ぶ開放的なスポットで、ぶらり歩きにぴったり!
「シンプル」だから「ノンストレス」。
アイス屋さんのお姉さん キャシーさん(26)
ー石垣島でできた友人に紹介してもらったキャシーさんにお話を聞きにやってきました!ぜひこの島で働き始めた理由を教えて下さい!
元々沖縄に憧れてて、地元の北海道から沖縄(那覇)の大学に進学したんです。卒業後は別の島で暮らしてみようかなと思って今度は石垣島に。最初は農家のじいじ(島でのおじいさんの呼び方)のところでお米を作ったりしてたんですよ!いいところは「とにかくノンストレス!」なこと。島のつくりや人間関係がシンプルなことがいいと思う。
市街地には連日多くの人が多く集まり、明け方までお酒を楽しむ人もたくさん。少し足を伸ばせば、広い道路でのドライブやローカルな風景をゆったりと楽しむこともできます。「ワイワイ騒ぐならここ」「日用品を買うならあそこ」「泳ぎに行くならあの海岸」というように、それぞれの場所の役割も人の数も限られているから島だからこそ、あれこれと悩むことなく自分のペースで時間や誰かと付き合って暮らしていけるのかも。
一人で飛び込むなら、自分のルールをしっかり持つこと。
アイス屋さん店長 リョウタさん(24)
ー先ほどのキャシーさんの働くアイス屋さんの店長をされているリョウタさん。この島には仕事の転勤でいらっしゃったんですよね。「好き」とか「憧れ」ではない理由で実際に住んで働く中で、課題みたいなものは感じていますか?
人は選ばないといけないってことですね。遊びにきた人の中には島の暮らしが楽しくて流されてしまう人もいるけれど、自分は仕事できている訳だから、自分の筋とかルールがないとやっていけない。せまい島である分、知らないところで広がるようなウワサも多いけど、それが良いものだとしても悪いものだとしても「知ってもらってる」ってことなので一歩も引かないようにしてます。当たり前のことを当たり前に続けていくのが大事かなって。
ー中にはリョウタさんのように、自分の意思とは関係なく転勤などで「たまたま」違う土地で暮らしていくことになった人もいるはずですよね。そんな人が上手くやっていくためのアドバイスはありますか?
結構テキトーですよ!(笑)それがこの島のいいところでもあるしね。ただ、身寄りがない中で一人で飛び込むなら、しっかり自分を持っておいたほうがいい。それができてれば大丈夫だと思います!
ハワイで最も食べられているアメリカンスタイルのかき氷を
石垣島で採れたオーガニックフルーツでオリジナルアレンジ!
●SHAVE ICE
沖縄県石垣市字大川1川番地
730コート入り口付近
どんどん人と繋がっていくことが面白い!
和菓子屋さん店長イクムラさん(33)
ー怪我をしているカラスの様子を外に見にきていたところにお声がけしました。取材にご協力くださってありがとうございます!
イクムラさんは今働かれている和菓子屋さんの転勤でこちらにいらっしゃったんですよね。何も知らない土地に行くことに不安はなかったんですか?
いや、決まった時は「石垣!ヤッホー!!!」って思いました(笑)最初はこの島のことを何一つ知らなかったから、さとうきび畑があって麦わら帽子の人たちがいるような場所の中に突然店が建つのかと思ってたくらい。実際に暮らしてみたら、意外と栄えてることにびっくりしました。
最初は誰も知らない中でやってきたけど、今は人とのつながりが凄く面白いですね。特に同じビルの店舗の人たちとは、飲み仲間としても毎日仲良く過ごしています。「みんなでわいわい飲もうぜ!」ってお互いのことを知りながらコミュニケーションをとっていくことで、仲間も増えて楽しく働けています!
もし事故が起きて誰かが傷ついているとしても、それで電車が送れて遅刻をすれば責められてしまうことにずっと疑問を感じていた会社員時代。正直な話、私が東京で働いている時に「カラスが怪我をしてるから」っていう理由で仕事を抜け出したら怒られただろうな‥と思いました(笑)
「うちの店長、優しいんですよ〜!」とスタッフさんに伺った通り、信頼される人柄だからこそお店をしっかりと任せられているイワムラさん。「心配」という感情も大切にしながらフォローし合って働ける環境は率直に素敵だなと感じます。心配なもんは心配ですもんね!
京都・祇園の”新趣”なお菓子屋さんが
石垣島にオープン!
●石垣島あのん
沖縄市石垣市字大川2番地 730SOUTH COURT 1F
「居心地がよくて、ついついそのまま。」
沖縄コスメ店スタッフ サユリさん(34)
ー先ほどのイクムラさんと同じ「730 COURT」というビルで働かれていて、一緒にカラスの様子を見にきていたサユリさん。どんなことがキッカケで石垣島に住み始めたんですか?
地元の横浜での仕事を辞めるタイミングでこっちにきました。元々、母親が石垣島出身なんですよ。子供の頃から何回か遊びに来たことがあったし、ちょうど祖母の具合が悪くなった時だったから、それで。28歳の時に住み始めて、30歳になるくらいには都会に帰ろうと思っていたら、居心地がよくてそのまま居ついちゃったんですよね。そういう人は実際多いと思います!今って人口は5万人いないくらいなのかな?住民としてカウントされている数字以上に、住民票を移してない滞在者も多いんじゃないかな。個人的には、ふらっと遊びにきてから決めてもいいと思いますよ。
住民票の移動は国民の義務ですが、裁判所の判例によると「生活の拠点が異動しない場合」「新住所に住むのが1年未満と分かっている場合」などは移動させる必要がないのだとか。例えばサユリさんのように一時的な事情による移動や、転勤などで期間が決められている場合は、そこに住み続けるということが決まった後に手続きを行えば良いようです。「移住」を考えるのは、大抵が迷いがある時や、人生のターニングポイントになる時ですよね。大きな決断をする前に、まずは滞在してみてその土地のことを知ってみるのも一つの手だと思います!
化石サンゴ配合の洗顔フォーム「美らさん」をはじめ、
沖縄コスメや可愛い雑貨がたくさん!
●Chura Peach
沖縄市石垣島大川2番地
730 COURT 1F
新しいことを外からきた人間がやっていくには。
世界初の海藻麺屋さん店長 ノリアキさん(28)
ー早速ですが、石垣島にはなんで住み始めることになったんですか?
サラリーマン時代に付き合いのあった、石垣島でお店をやっている社長に引き抜かれてこのお店のオープンを手がけることになったんです。今までとは全く違う仕事をすることになったけど、面白いですよ。なによりここではどんどん人とのつながりができるから、営業がしやすい!みんなで一緒に盛り上げていきたいっていうのが大きいですね。新しいことを外から来た人がするのってやっぱり大変なんです。観光の人はもちろん、島の人に気に入ってもらって愛されるお店にしたいから、市役所とか郵便局とか、銀行なんかの行政にも出前のサービスをして売り込んでます!とりあえず、動いてみなきゃ始まらない!
ーお声がけした時、「こっちにきてまだ2weekなんですよ!」って答えてくれたのが面白かったです(笑)短い期間ですが、早速気に入ったポイントなんかはありますか?
車が少なくて運転しやすいからドライブが最高!
「世界初の海藻麺」を試食させてくれるとのことで‥
\いざ、実食!/
\!!?めっちゃコシがあって食べ応えがやばいです!!!/
「讃岐うどんにも負けねーぞ!!!って気持ちでやってますからね。ヘルシーで美味しい海藻麺、ぜひ食べにきて下さい!」とのことです!
「新しいことを」「新しい自分が」「新しい土地で」と三拍子揃った環境に挑戦中のノリアキさんには”とにかくやってやるぞ!”というパワーがみなぎっていました。外から来た人間はついつい外の人間へ向けた視点で動いてしまいがちですが、観光客ももちろんのこと、この島でやるからにはこの島の人に気に入ってもらいたい!という姿勢こそが新しい土地で根付いていくことへの秘訣なはず。
●SEAWEED NOODLE
沖縄県石垣市大川2番地 730South Court 1F
0980-87-5831
最後は石垣島の繁華街である美崎町エリアへと向かいます!
”よそもの意識”があるのは実は自分の方なのかも。
民謡バースタッフ マコトさん(42)
ー町中でさっきチラシを配りにきてくれたんですよね。お話を聞かせてくださってありがとうございます!マコトさんはなぜ石垣島にこられたんですか?
島の知り合いから仕事を紹介してもらって、半年前に千葉からやってきました。旅をしていた時に訪れたことがあったり、他の仕事でここにきたこともあったから、勢いだけできたわけではありません。ただ、石垣島は労働賃金が低いのに家賃が高いので結構大変です(笑)
ー「家賃が都会とあまり変わらない!」って話は私も実際にきてから初めて知りました!外からきてみて半年過ごした中で、色々な難しさも出てきたと思います。人間関係におけるそういう課題みたいなものはありますか?
外からきた人が難しいと感じてしまうのは、実は自分が距離を置いてるだけだったりするんですよね。よそもの意識があるのは、実は自分の方かも知れない。ここでは仲間がいて面倒を見てくれるから、助けてくれた分、自分も恩返しとしてやっていきたいですね。「持ちつ持たれつ」はどこへ行っても一緒。「ありがとう」が伝わる形で頑張っていけば、気持ちは届くと思うんです。
これは私が島の不動産屋さんから聞いた話なんですが、古い建物をリノベーションするにも新しい建物を作るにも、離島ではとにかく材料の「輸送費」がかかってしまうのでその分家賃が高くついてしまうのが現状なんだとか。ちなみに最低賃金は714円で、実際にに滞在する中でダブルワークをしている人も多く見かけました。移住者も増える一方で、家賃の負担や労働賃金の低さは切実な問題です。
移住者のコミュニティは固まりがち‥?
民謡バーオーナー・三味線奏者 カバジョウさん(49)
ー先ほどのマコトさんが働いている民謡バーのオーナー、カバジョウさん。今回の取材で唯一の生粋の島人(しまんちゅ)ですが、ご自分が生まれ育った地元の良いところってなんだと思いますか?
こっちは時間のゆるみがいいわけ!他の土地にも住んだことはあるけど、「やっぱりここ」と思うのはそこだね~。でも住んでると、不便さもいっぱいあるわけよ。情報が流れてこなかったり、伝わってこないものもあるでしょ。あと送料や物価が高いのは一番大変!同じ国内でも内地(本州)とはぜんぜん違うよね。
ー沖縄では他にも「台風が多くて大変!」なんて話もよく聞きます。
台風がきたら安心するさー!海の中を掃除してくれるでしょ?台風がくるから、海を守ってくれる。どんなことでも、わかっていれば大変じゃないわけよ。台風の時は、戸締まりして、食料を買い込んで、家の中で家族とトランプしたりDVDを観て過ごしたりするよ。そういうのも大事な時間だよね。
ーそういう考えもあるんだなって、目からウロコでした!そんな風に自然と共存して暮らしてきたことが、この島での「時間のゆるみ」につながってるのかも知れませんね。ところで、島の人から見た移住者ってどう見えてるんですか?
島の人は島の人で、外からきた人は外からきた人で固まってしまってるなあという風には見えるよね。でもそういうのは「島の人の言葉足らずさ」からきてると思うのよ。例えば小さい頃から耳慣れた言葉だから「お祭り」と一言で言うでしょ?でも実際にやっていることは、神聖な儀式だったりもするんだよね。伝統的な行事だからこそ遊び半分で関わって欲しくなくて、移住者や観光客にはぶっきらぼうに「手伝わなくていいよ」と言ってしまったりして、そこで線引きや隔たりができてしまう。外からきた人間も、どういうものなのかを理解して接することができれば、この島の住人としてできる範囲で関わっていけるよね。
民謡バーでのお二人のお話に共通していたのが、「島の人と移住者の距離感」。ずっとそこで暮らしてきた人も、そこでやっていきたいと願って暮らし始めた人も、「理解し合う」というのが同じ島で過ごしていく第一歩ですよね。石垣島には「海神祭」や「豊年祭」などのお祭りがたくさんありますが、それは単なるイベントではなく季節ごとの大切な儀式。生まれた時から自然と共存してきた島の人たちだからこそ、人を受け入れる力があると信じて積極的に関わっていく勇気を持つことが大事!
せっかく島にきたなら、民謡とお酒が一緒に楽しめる場所で!
●島唄てんてん
沖縄県石垣市美崎町12-6 Y’sビル2F
0980-87-5699
●石垣島×人=見える
勇気を出して声をかけた私と真剣に話してくれたり、その場で電話をかけて次の人を紹介してくれたりと、どの方も口を揃えて言っていたように「人とのつながり」が強く見えた今回の取材でした。
人口の少ない島では、登場人物が限られています。だからこそ繋がってもいくし、理解し合おうとするんです。そんな中、誰かと関わっていくことで一番見えてくるのは自分自身なのかも知れません。
●石垣島×暮らし=受け入れる
都会には都会のリズムがあるように、島にも島のリズムが確かにありました。そして、島ではたらく人たちはそのリズムを大切に仕事をしていきたいと選んでここにいる人たちばかり。時には思いがけないスコールや台風もやってきます。なにもかも都合がよくなくったっていいんです。それも「そういうものだ」と受け入れる習慣は、システム化された都会にはないものの一つですよね!
●石垣島×働く=それが生活!
なんのために働くのかと聞かれたら、お金とか、やりがいとか、人によっていろんな答えがあると思うんです。
島で働く人たちに共通していたことは「全部のバランスを大切にしている」ということでした。
やりたい仕事を、自分の心地よい環境で、楽しみながら。そのどれもがそこにあるから、生きていく手ごたえって得られるんです。
もしあなたがこの島で暮らすとしたら、「のんびり過ごしたい」ですか?それとも「自分の力を試してみたい」?
そんな自分が求める「はたらき方」を見つけに行くのもアリなのかも知れませんね!
\なんくるないさー!/
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